ハント5
都心から郊外へ向かう早朝の私鉄の車両のドアが開く。
俺が車内に乗り込むと入り口付近に座っている女が怪訝な顔をして俺を見た。
まだ、ラッシュ前で、まばらな乗客たちの視線もいっせいに俺に集まる。
俺が別に奇異な格好をしているわけではない。これは女性専用車両なのだ。
集団を相手に力がどこまで通用するのか、ちょっと試して見たくなった俺は早朝の女性専用車両を力試しの場として選んだ。
ドアが閉まり電車が発車する。
とりあえず車内の全員に俺のことが気にならぬように「電波」を送る。
車内にいるのはせいぜい14~5人だ。俺にとってはそう難しくはないはずだが…。
俺をにらみつけたり、ちらちら見ていた女たちも一人、一人、俺には興味を失ったようにふたたび本を読み始めたり、メールチェックしはじめる。
最後の一人が俺を無視するまで3分ほどかかる。まあ、最初はこんなもんか。
次にこの車両に結界をはる。車両に誰も乗り込んでこないよう、この車両に入る気がしないようにしておくのだ。
ここまではうまく行った。少し落ち着いたので改めて車内を観察して見る。
意外に若い女が多い。朝帰りらしき女もいれば、これから遊びにいくグループ、水商売風の女、学生…。
その層はさまざまだ。もちろん若くない女もいる。
さっきは最後まで俺をにらんでいた、でっぷりしたおばさんや優しい顔をした老婦人など。
その何人かにはまず眠ってもらうことにしよう。ピピっと俺の頭から再び「電波」が飛ぶ。
車内の6名ぐらいがカクッと首を垂れて寝込んでしまう。いずれも「若くて美しい女」の選定基準から外れた乗客だ。
当然あとは「若くて美しい女」だけが残る。そいつらの一人一人の無意識に潜入していく。
ほぼ一瞬で全員のキャラクターを把握できた。こいつらはもう俺の手の内にあるも同然だ。
一人のセーラー服の学生の前に立つ。みつあみのお下げに眼鏡をかけた真面目そうな娘だ。
眼鏡のずれをしきりに直しながら文庫本を一心不乱に読んでいる。
この娘の無意識に強く介入してみる。
…前に立っている男のちん○んがさわりたくてたまらない…。手が伸びてしまって自分では押さえつけることが出来ない。
さわるともっともっといじりまわしたくなる。いじると自分もとってもHな気分になる。そんな感じてしまう自分が恥ずかしくてたまらない。
でもやめることは出来ない…。
強く、何回も暗示を娘の無意識にたたき込んでやる。
次第に顔が赤らんでくるのがわかる。ちらちらと俺の顔と股間を盗み見るようになる。
自分の内なる欲求との葛藤でブルブルと震えだす。しかしどうしたって俺の打ち込んだ暗示に打ち勝つのは無理だ。
真っ赤な顔でうつむきながらそれでも本から目をはなさずにおずおずと娘の手が俺の股間に伸びてくる。
やがてその手が俺に達すると一瞬、娘は肩をビクっとさせる。
それでも手は止まらない。ズボンの上からおれのちん○をさすり始める。
シュッシュッシュッ…。
「はあ、はあ、はあ。」息づかいが荒くなってくるのがわかる。
もう本は読んではいないがまだ下を向いたままでのばした手だけをさらに激しく上下させる。
まだ自分自身と葛藤しているのか、こする力はそれほど強くはない。
これじゃ少し物足りないな。
さらにサービスしてくれる女を追加する。
俺が「電波」をとばすと、斜め後ろから一人、車両の前のほうから一人、女がふらっとたちあがって俺のほうに寄ってくる。
二人ともすでに目はトロンとしてトランス状態だ。
一人の女は、いかにも遊んでいるという感じのちゃらちゃらした感じのポッチャリ型の女だ。
この寒いのにホットパンツをはいて露出の多い服を着ている。
染めた金髪をドレッドヘアだかスズメの巣だかわからないようなぐちゃぐちゃの髪形にしている。
アクセサリが無駄に多い。コレもファッションか。
もう一人の女は服装は清楚なワンピースだが、だれがみても水商売とわかる雰囲気の若い女だ。
抜群のプロポーションというわけではないが、体全体の線が、どこか生々しく男心をくすぐるところがある。
二人は俺の両脇までくると自分の身体の部分を俺にこすりつけてよがり始める。
遊び人の女は俺の身体に胸をこすりつけてくる。服の上からでもそのボリュームがわかる。
ゴムまりのようなその胸はどうやらフェイクではないようだ。なかなかいい弾力感が俺の脇にあたってなんだか楽しくなる。
そうだ、感じろ、俺の身体に触れるともっと気持ちよくなる…。
「ムニュン、ムニュン、はあ、はあ、ああん、ふうう…。」気持ちよさそうな声をあげながら、さらにグイグイおしつけてくる。
もう一人の女は俺の首筋をなめはじめた。その静かな動きとはうらはらの激しい鼻息が結構俺を興奮させる。
首筋をなめながらその手は俺の背中や尻を愛撫している。
「ぺろ、ぺろ、ぺろ、むふう、ふうん…。」
やがて、俺の手をつかむと自分の股間へと導いていく。
ワンピースをたくし上げ、いきなりパンティーの中へ俺の手を入れて触らせようとする。
俺は逆らわず、女の要求に応える。
「くちゅ、くちゅ…」「はあ、ああウウ…。」俺の耳元で異様に色っぽい声を上げだす女。
腰をくねくねさせて、俺の手にグイグイ押し付けてきている。
「はああーん、イかせてぇ、イかせてぇ…。」少し低音のハスキーボイス。声だけで2割り増しのエキサイト。
一方遊び人の女は、さらに乗って来たのかもう上半身裸になってその見事な胸をさらけだし、俺のシャツをめくりあげて、必死で
こすり付けてくる。
そのピンと立った見事な乳首をちょっとつまんでやると面白いほど反応する。
「キュッ。」「はあああ、ああ、いいー、キモチイイー!!もっと、もっとおおー!!!!」
更なる快感をもとめて俺の肌に乳頭をこすりつける。
ステレオで聞こえる女のよがり声に俺も盛り上がってくる。
そうこうするうちに欲望の方が勝ってきたのか、お下げの女子学生の股間をこする力が強くなってきた。
おお、いい感じだ。もうしっかりとズボンの上からおれの陰茎をにぎりしめて上下し始める。
「はあ、ああ、あああ…。」目線はあいかわらず下を向いたままだが大きなあえぎ声を上げ始めた。
「は、あううん、もう…、もう…、だめええええ!!」
チャックを一気に引きおろすと乱暴におれのちん○を引きずり出し、グッと握り締めるとものすごい勢いでコキはじめる。
シコシコシコシコ…。「はああ、いい、いいわ…。」恍惚の表情。もううっとりした目つきで俺の顔をみつめながらしごき続けている。
そして、しだいにその口が亀頭部分に近づいていき…。
「はむ、はもはもほももも…。」大胆な動きで口の中へ俺のちん○を吸い込んでいく。
「はうふ、ほんぐ、ほぐ、じゅ、じゅ…。」幸せそうにバキュームフェラをするその顔は、もう完全に淫乱女へと変貌をとげていた。
こうして早朝の電車内で3人の痴女に体中を愛撫されている。こういうのも刺激的でいいものだ。
実際に試して見てこういう操りは思ったほどエネルギーを使わないものだということに気づく。
最初に女たちの心の方向を少し捻じ曲げてやるだけであとは岩が転がり落ちるように面白いように淫乱になっていく。
多人数で行う相乗効果みたいなものもあるのかもしれない。といろいろ思案しているうちにも身体は絶頂へと近づいてくる。
おお、気持ちいい。
この気持ちよさをみんなにも味わってもらわなくちゃな。
残りの乗客に俺の気持ちよさを転送してやることにしようか。
俺の感じている快感を増幅して、俺を愛撫している3人はもちろん、残りの全員の脳に「電波」を送り込む。
自分で胸を揉んだり股間をこすり始めたりする乗客の女たち。
「はあ、はあ、くう、ふう…。」「きゅいん、く、あん…。」「いや、あん、だめ、あん、そんな…。」
やがて車両全体があやしいあえぎ声で満たされていく。
俺の絶頂が近づくにつれ、みんなの声も絶叫に変化していく。
「あ、あ、あああああ、あ、あううう。」「きゃううん、きゃはあはああ!!」「うぐ、ぐぐ、がふふううう!!!!」
素晴らしいオーケストラに囲まれて、ついに俺も最後を迎える。
お下げの学生の舌の左右の激しい動きにじんじんしびれていた俺の亀頭が、ぶるっとふるえると一瞬おいて白濁をどっと吐き出した。
ぴゅううう、ぴゅ…。
「う、うふう、はあああああーん…。ああ、あー!!!!」「あう、あうふう、いくうううう!!!」「きゃひいいいい。」「あああ、いいいいいーーーー。」…
車両全体が女たちのイく声で揺れた。
「ふう。」長い射精がやっと終わって俺は一息つく。
うまくいったという満足感と久しぶりに出し尽くしたというこの感じ。
こころよい疲労感とともに車内を見回してみる。
俺自身がかなり気持ちよかったため、イった瞬間はかなりつよい「電波」が飛んでしまったようだ。
一人残らず、股間をじゅくじゅくに濡らして座席で失神している。
俺はイチモツをズボンにしまいこみ、服装をととのえると最後の仕上げにかかる。
電車の中では何もなかった。服装が乱れていたり、パンティーが濡れていたりするのはまったく気にならない。
俺の存在も忘れてしまう…。
乗り合わせた全員の表面の記憶から車両の中であったことを消去する。
完全に俺と同化してしまったこいつらの記憶をあやつることは簡単なことだった。
しかし、とことん淫乱になってしまった自分を心の奥では忘れることが出来ない。
俺の求めひとつでいつでも激しく発情する…。
とりあえずは普段の生活に戻してやるが俺からは逃れられない。
そして、念のため一人一人の連絡先を控えておく。
もしかしたら探している女がこの中にいないとも限らないからだ。
後日、一人ずつ呼び出してはセックスをしてみたが、やはり求める女はいなかった。
はじめから期待はしていない。それより、いろんなタイプの女とつづけざまにセックスをするのがおもしろかったのだ。
あのお下げの学生が激しく求めるタイプで、巨乳の遊び人は逆に淡白なセックスだったのが意外だった。
二人ともいずれ、俺に仕えさせる女のリストに入れておく。
それにしても、求める女はいったいどこにいるのだろうか。
親父の顔を思い浮かべながら、暗澹たる思いで俺はとぼとぼとあるく。
あらゆる望みはかなうが、ただ一つかなわないものを追い求め続けなければいけない人生。
考えて見れば皮肉なものだ。だがまあ、仕方ない。やるせない諦めに苦笑いし、ただため息をつく。
「ふう…。」
明日こそは、明日こそはと無理やり自分にいいきかせながら眠りに付く。
明日こそは…。